大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 昭和59年(ワ)8565号 判決

第一事件原告、第二事件被告

(以下両事件を通じて「原告」という。)

株式会社三景商事

右代表者代表取締役

村川栄光

右訴訟代理人弁護士

武藤達雄

第一事件被告、第二事件原告

(以下両事件を通じて「被告」という。)

奥島徳夫

第一事件被告

(以下「被告」という。)

奥島孝子

右両名訴訟代理人弁護士

小林多計士

第二事件被告

株式会社キャピタルリース

(旧商号株式会社ワールドハウジング)

右代表者代表取締役

井上保決

主文

一  被告奥島徳夫及び被告奥島孝子は、原告に対し、別紙物件目録記載の家屋を明け渡せ。

二  第二事件被告株式会社キャピタルリースは、被告奥島徳夫に対し、別紙物件目録記載の土地及び家屋についてなされた大阪法務局中野出張所昭和五六年二月二三日受付第六九八七号所有権移転登記の抹消登記手続をせよ。

三  原告の被告奥島徳夫及び被告奥島孝子に対するその余の請求を棄却する。

四  被告奥島徳夫の原告に対する請求を棄却する。

五  訴訟費用は、原告と被告奥島徳夫及び被告奥島孝子との間に生じた分については、これを三分し、その一を原告の、その余を右被告らの負担とし、被告奥島徳夫と第二事件被告株式会社キャピタルリースとの間に生じた分については、第二事件被告株式会社キャピタルリースの負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

(第一事件について)

一  請求の趣旨

1 被告奥島徳夫(以下「被告徳夫」という。)及び被告奥島孝子(以下「被告孝子」という。)は、原告に対し、別紙物件目録記載の家屋を明け渡し、かつ、昭和五七年五月七日から右明渡済みまで一か月金八万円の割合による金員を支払え。

2 訴訟費用は、右被告らの負担とする。

3 仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

1 原告の請求を棄却する。

2 訴訟費用は、原告の負担とする。

(第二事件について)

一  請求の趣旨

1 主文第二項同旨

2 原告は、被告徳夫に対し、別紙物件目録記載の土地及び家屋につきなされた

(一) 大阪法務局中野出張所昭和五七年五月一八日受付第二三九一六号所有権移転登記

(二) 大阪法務局中野出張所昭和五六年四月九日受付第一五九七二号抵当権設定登記

(三) 大阪法務局中野出張所昭和五六年四月九日受付第一五九七三号停止条件付賃借権設定仮登記

の各抹消登記手続をせよ。

3 訴訟費用は、原告及び第二事件被告株式会社キャピタルリース(以下「第二事件被告キャピタルリース」という。)の負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁

(原告)

1  被告徳夫の原告に対する請求を棄却する。

2  訴訟費用は、被告徳夫の負担とする。

第二  当事者の主張

(第一事件について)

一  請求の原因

1 被告徳夫は、別紙物件目録一記載の家屋のほか、同物件目録二記載の土地(以下これらを総称して「本件不動産」といい、家屋については、「本件家屋」という。)を、もと所有していた。

2(一) 被告徳夫は、第二事件被告キャピタルリース(当時の商号は、株式会社ワールドハウジング)に対し、昭和五六年二月一〇日本件不動産を時価で売り渡した。

(二) 原告は、昭和五七年五月六日第二事件被告キャピタルリースから本件不動産を代金三〇〇〇万円で買い受けた。

3(仮に、右2が認められないとしても、)

(一)(1) 被告徳夫は、自己の金策のため、当時、第二事件被告キャピタルリースの代表者であつた訴外中原敏昭(以下「訴外中原」という。)に対し、昭和五五年一二月末ころ、第二事件被告キャピタルリースの名義で訴外褒徳信用組合(以下「訴外褒徳信用」という。)から金一〇〇〇万円を借り入れることを依頼した。

(2) 第二事件被告キャピタルリースが、訴外褒徳信用から右借入れをするに当たり、被告徳夫は、第二事件被告キャピタルリースの右債務に関して、本件不動産を担保に供することとし、被告徳夫と訴外褒徳信用との間の右担保権設定契約の締結及び右登記手続に関して、訴外中原に代理権を授与した。

(3) 右代理権授与に伴い、被告徳夫は、訴外中原に対して、本件不動産の権利証、被告徳夫が署名だけした委任状、同じく被告徳夫が署名だけした白紙各二、三通、印鑑登録証明書及び実印を預けた。

(4) しかしながら、第二事件被告キャピタルリースは、訴外褒徳信用から借入れを受けることができなかつた。

(5) ところが、訴外中原は、昭和五六年二月二三日、預けられた右権利証等を利用して、勝手に、本件不動産について、第二事件被告キャピタルリースの名義に売買を原因として所有権移転登記手続をした。

(6) 第二事件被告キャピタルリースは、昭和五六年四月八日、原告から金二〇〇〇万円を弁済期同年六月八日の約定で借り受け、その担保として本件不動産に抵当権を設定した。

(7) 第二事件被告キャピタルリースは、右借入金を弁済できなかつたので、原告は、昭和五七年五月六日、第二事件被告キャピタルリースから代金三〇〇〇万円で本件不動産を買い受け、その代金債権のうち二〇〇〇万円は右貸金債権をもつて対当額で相殺することとし、残金一〇〇〇万円を支払つた。

(二) ところで、被告徳夫は、第二事件被告キャピタルリースに対し、本件不動産につき前記(5)の登記がなされていることを知りながら、これに異議を唱えず、右登記の存在を放置し、右登記がなされた後の昭和五六年四月二〇日ころ、第二事件被告キャピタルリースから自動車一台と現金三〇〇万円を合計一〇〇〇万円に見積つて受領した。被告徳夫の右所為は、被告徳夫と第二事件被告キャピタルリースとの前記売買契約を有効なものとして追認する旨の意思表示をしたものということができる。そして、原告は、前記のとおり、昭和五七年五月六日、第二事件被告キャピタルリースから本件不動産を買い受けた。

(三) 右(一)の(7)の売買契約の締結に際し、原告は、本件不動産が第二事件被告キャピタルリースの所有に属するものと信じてこれを買い受けたので、善意により新たに利害関係を生ずるに至つた者として民法九四条二項の法理により保護されるべきである。

(四) 原告は、右の(一)の(7)の売買契約の締結に際し、被告徳夫と第二事件被告キャピタルリース間の売買契約書、領収書及び被告徳夫名義の権利書の交付を受けており、本件不動産が第二事件被告キャピタルリースの所有であると信ずるにつき、正当な理由があつたので、民法一一〇条の法理の類推適用により保護されるべきである。

4 被告徳夫及び被告孝子は、現在本件家屋を占有している。

5 本件家屋の賃料相当額は、一か月金八万円である。

6 よつて、原告は、所有権に基づき、本件家屋の明渡しと、不法行為による損害賠償請求権に基づき、不法行為の日の後である昭和五七年五月七日から右明渡済みまで一か月金八万円の割合による賃料相当損害金の支払を求める。

二  請求の原因に対する認否

1 請求の原因1は認める。

2 同2の(一)は否認し、(二)は不知。

3 同3の(一)の(1)ないし(5)は認め、(6)及び(7)は不知、同(二)ないし(四)は否認する。

4 同4は認める。

5 同5は否認する。

6(一) 本件不動産についての被告徳夫から第二事件被告キャピタルリースへの所有権移転登記は、実体関係を伴わない不実の登記であり、被告徳夫は、右不実の登記につき、第二事件被告キャピタルリースと通じていた事実はなく、また、右登記を承認した事実もないのであるから、本件に民法九四条二項を類推適用する余地はない。

(二) 本件において、仮に、民法一一〇条を類推適用し原告の所有権の取得が善意によるものとして保護されるべき場合があり得るとしても、そのためには原告において前所有者への登記が不実の登記でないと信ずべき正当の事由が必要であり、もし、通常人であれば疑念を抱いて然るべき特別の事情が存する場合には正当事由は否定されるべきである。

本件においては、次に述べるとおり特に疑念を抱かせるに足りる事情が存したのであるから、右にいう正当事由は存在しない。

(1) 本件不動産には被告徳夫の家族が居住していたのであるから、被告徳夫による売却の実体が真実存在するのかどうかについて原告は当然に疑念を抱くべきである。にもかかわらず、原告は、その確認についての適切な手段を講じていない。

(2) 原告は、第二事件被告キャピタルリースから本件不動産を買い受けるに際し、同被告と被告徳夫間の売買契約書(甲第二号証の一)と被告徳夫の領収書(同号証の二)を徴しているが、これは原告が被告徳夫による売却に何らかの疑念を持つたため、将来の紛争に備えてなされたものであると考えられる。ところが、登記簿記載の登記原因である売買年月日が昭和五六年二月二三日であるのに対し、右売買契約書(甲第二号証の一)の売買年月日が同年二月一〇日となつていて食い違つている事実及び右売買契約書(甲第二号証の一)と領収書(同号証の二)の被告徳夫の名義の署名の筆跡が違う事実に原告は当然気付くべきであつたにもかかわらず、これらを徴することをもつて足れりとした。

これらの事情の下においては、原告は、第二事件被告キャピタルリースの本件不動産についての所有権の取得に疑念を抱くべきであつたにかかわらず、悪意又は過失によりその確認をしなかつたものである。

(3) したがつて、本件について原告に不実の登記でないと信ずべき正当な事由があつたとはいえない。

三  抗弁

仮に、原告が本件不動産につき所有権を取得したとしても、右の取得原因は実質的には、代物弁済であるから、右所有権の取得に係る本件不動産の価額が原告の第二事件被告キャピタルリースに対する債権額を超過する場合、原告は、被告徳夫に対し、右超過額を清算すべきであり、右清算金の支払がない。

以上、被告徳夫は、原告に対し、本件家屋を明け渡すべき義務はない。

四  抗弁に対する認否

争う。

(第二事件について)

一  請求の原因

1 被告徳夫は、本件不動産を所有している

2 本件不動産には、第二事件被告キャピタルリースのため、大阪法務局中野出張所昭和五六年二月二三日受付第六九八七号所有権移転登記が存在する。

3 本件不動産には、原告のため、

(1)大阪法務局中野出張所昭和五七年五月一八日受付第二三九一六号所有権移転登記

(2)同法務局同出張所昭和五六年四月九日受付第一五九七二号抵当権設定登記

(3)同法務局同出張所昭和五六年四月九日受付第一五九七三号停止条件付賃借権設定仮登記

が、それぞれ存在している。

よつて、被告徳夫は、本件不動産の所有権に基づき、原告及び第二事件被告キャピタルリースに対し、前記各登記の抹消登記手続を求める。

二  請求の原因に対する認否(原告)

本件物件がもと被告徳夫の所有であつたことは認める。

三  抗弁(原告)

第一事件についての請求の原因のとおり。

四  抗弁に対する認否

第一事件についての請求の原因に対する認否のとおり。

第三  証拠〈省略)

理由

(第一事件について)

一請求の原因1及び4は、当事者間に争いがない。

二請求の原因2の(一)は、これを認めるに足りる証拠はない(なお、甲第二号証の一及び同八号証は、被告徳夫名下の印影が被告徳夫の印章によるものであることは当事者間に争いがないので、他に特段の事情のない限り、右の印影は被告徳夫の意思に基づいて顕出されたものと推定されるから、真正に成立したものと推定すべきであり、また、甲第二号証の二も、被告徳夫の氏名が被告徳夫の自署によるものであること及び被告徳夫名下の印影が被告徳夫の意思に基づいて顕出されたものであることは当事者間に争いがないので、特段の事情のない限り、真正に成立したものと推定すべきであるが、被告徳夫本人の尋問の結果及び弁論の全趣旨によれば、甲第二号証の一及び同八号証の印影は、被告徳夫に無断で、訴外中原が保管に係る被告徳夫の印を利用してこれを顕出したものであること、被告徳夫は、甲第二号証の二の書面に署名捺印したが、その際他に記載事項はなく、被告徳夫は、領収証として右書面を作成する意思はなかつたことが認められ、右事情の下では、甲第一号証の一及び同八号証の被告徳夫名下の印影が被告徳夫の意思に基づいて顕出されたものとはいえないので、真正に成立したものと推定することはできず、また、甲第二号証の二も、真正に成立したものと推定することはできないし、他に甲第二号証の一及び二並びに甲第八号証が真正に成立したものと認めるに足りる証拠はない。)。したがつて、右(一)を前提とする同(二)の原告の所有権取得の主張は、更に判断するまでもなく理由がない。

三1  そこで、請求の原因3について判断するに、その(一)の(1)ないし(5)は当事者間に争いがなく、同(6)及び(7)は、成立に争いがない甲第一号証の一、二、原告代表者の尋問の結果(第二回)により真正に成立したことが認められる甲第五号ないし第七号証、第九号証、第一〇号証、証人伊藤裕康の証言、原告代表者の尋問の結果(第一、二回)及び弁論の全趣旨によりこれを認めることができる。

2  そこで、次に、請求の原因3の(二)について検討するに、被告徳夫本人の尋問の結果によれば、被告徳夫は、昭和五六年四月二〇日ころ、訴外中原から自転車一台と金三〇〇万円を合計一〇〇〇万円に相当するものとして受領したことが認められるが、被告徳夫が、本件不動産について、同人から第二事件被告キャピタルリースへの所有権移転登記がなされていることを知りながら、これを放置し、そのうえで右自動車等を受領したことを認めるに足りる証拠はない。

よつて、請求の原因3の(二)の主張は、更に判断するまでもなく、理由がない。

3  次に、請求の原因3の(三)について検討するに、前記のとおり本件において、被告徳夫は、第二事件被告キャピタルリースによる不実の登記がなされているのを知りながら、これを放置していたなど事情は認められないので、たとえ、原告が、右外形を信じて新たに利害関係を生じたとしても、民法九四条二項の類推適用により保護されるべき余地はない。

4  そこで、次に請求の原因3の(四)について判断するに、〈証拠〉によれば、訴外中原は、昭和五五年一二月末ころ、被告徳夫から、本件不動産を担保に訴外褒徳信用から一〇〇〇万円位借り入れることの依頼を受け、そのころ、被告徳夫から本件不動産の登記済証、被告徳夫の署名のある登記手続のための委任状及び被告徳夫の署名のみがある白紙二、三通を預つたこと、そして、更に、その後昭和五六年二月二〇日ころ、被告徳夫から右借入れに必要なものとして、その印鑑登録証明書と実印を預つたが、間もなく右借入れを受けることができそうにもないという見通しになつたこと、ところが、訴外中原は、右実印等を利用して、昭和五六年二月二三日、本件不動産につき被告徳夫から第二事件被告キャピタルリースへの売買を原因とする所有権移転登記を経由し、右会社が本件不動産の所有権者であるかのような外観を整えたこと、その後、訴外中原は、同年四月八日、原告から金二〇〇〇万円を借り入れ、これによる債務を担保するために原告に対し本件不動産に抵当権を設定したこと、そして、訴外中原は、同月二〇日ころ、被告徳夫に前示のとおり自動車一台と金三〇〇万円を渡し、預つていた実印も返還したが、本件物件の権利証はその後も返還しなかつたこと、その後、前示のとおり、原告が翌五七年五月七日に第二事件被告キャピタルリースから本件不動産を買い受けるということになつたのであるが、それまで右登記は第二事件被告キャピタルリースの下にあつたこと、原告は、右買受けに際し、第二事件被告キャピタルリースから、被告徳夫と右キャピタルリースとの間の売買契約書(甲第二号証の一)、右代金領収書(甲第二号証の二)及び被告徳夫名義の登記済証(甲第八号証)の交付を受けたことの各事実が認められ、以上の事実及び前記当事者間に争いのない事実に照らせば、原告は、請求の原因3の(一)の(7)の売買をするにつき、売主の第二事件被告キャピタルリースが権利者であると信じるにつき正当の理由があつたものと認めることができる(なお、被告徳夫及び被告孝子が請求の原因に対する認否6において右正当の理由を否定する事情として主張するところについてみておくに、〈証拠〉によれば、原告を本件不動産を買い受けた昭和五七年四、五月当時、本件家屋には、被告徳夫はいなかつたものの被告孝子が居住していたこと、原告は、前示のとおり第二事件被告キャピタルリースから前記売買契約書(甲第二号証の一)と領収書(同号証の二)を徴したのであるが、右売買契約書に記載された売買年月日と登記簿上の売買年月日の間に齟齬があること及び右売買契約書と領収書の被告徳夫名義の署名の筆跡が互いに異なつているようにもみえることは、右被告ら主張のとおりと認められる。しかし、右事実は、いずれもそれ自体としては、いまだ前記被告徳夫と第二事件被告キャピタルリース間の売買についてそれが同被告の意思に基づくものではないのでないかとの疑念を強く抱かせるものとはいえず、右事実から、直ちに、右被告ら主張のごとくいえるかどうかは疑問である。ちなみに、被告孝子本人の尋問の結果によれば、被告徳夫は、昭和五七年四、五月当時、妻である被告孝子にも住所地を知らせておらず、同被告としても連絡をとれない状態で、原告において被告徳夫の意向を確認しようとしても簡単には確認できない状況であつたことが認められる。そして、他に前記正当の理由の存在を否定するに足りる事情は認められない。)。

以上の事実によれば、民法一一〇条の法理を類推適用して、原告は本件不動産につき所有権を取得したものと認めるのが相当である。

四同5は、具体的金額を確定するに足りる証拠はない。

五被告徳夫、同孝子は、原告の所有権の取得の原因はその実質において代物弁済であると抗弁するが、これを認めるべき証拠はなく(前示のとおり原告は、貸付金との相殺とは別に一〇〇〇万円を支払つていると認められる点参照)、更に判断を進めるまでもなく理由がない。

六よつて、原告の請求は、本件家屋の明渡しを求める限度で理由があり、その余は理由がない。

(第二事件について)

一原告に対する請求について

1  被告徳夫が本件不動産の所有権を取得したことについては、当事者間に争いがない。

2  抗弁に対する判断は、前記第一事件の請求の原因に関して説示したとおりである。

3  したがつて、被告徳夫の原告に対する請求は、理由がない。

二第二事件被告キャピタルリースに対する請求について

1  第二事件被告キャピタルリースは、適式の呼出を受けながら、本件口頭弁論期日に出頭しないし、答弁書その他の準備書面も提出しないので、請求原因事実を明らかに争わないものと認め、これを自白したものとみなす。

2  したがつて、被告徳夫の第二事件被告キャピタルリースに対する請求は、理由がある。

(結論)

以上の次第で、第一事件につき、原告の被告徳夫及び被告孝子に対する請求は、本件家屋の明渡しを求める限度で理由があるので、これを認容し、その余は理由がないので失当としてこれを棄却し、第二事件につき、被告徳夫の原告に対する請求は、理由がないので失当としてこれを棄却し、同じく原告の第二事件被告キャピタルリースに対する請求は、理由があるので、これを認容し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条及び九三条を適用し、原告の仮執行宣言の申立については、相当でないからこれを却下し、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官上野 茂 裁判官中路義彦 裁判官山口 均)

別紙物件目録

一 建物

所在

大阪市東住吉区山坂四丁目六二番地の三

家屋番号 六二番の三

種類   居宅

構造   木造瓦葺二階建

床面積 一階 七二・一〇平方メートル

二階 四六・四一平方メートル

二 土地

所在    大阪市東住吉区山坂四丁目

地番    六二番の三

地目    宅地

地積    一〇七・五三平方メートル

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例